「人間冷蔵庫」が本当に売られてる。WEB会議の個室まで人を冷やし始めた

事例

あれ?いつの間にか・・・

東京へ出張したとき、
ちょっと面白いことに気づきました。

首掛け扇風機を使って歩く人
背中にファンが付いた作業服を着る人
日傘を差して移動する男性

数年前なら、どれも少し
目についた光景だったと思います。

でも今は、ほとんど誰も気にしていない。
私も見ながら、
「暑さ対策、大変そうだな」
くらいにしか思いませんでした。

そこで、少し引っかかったんです。
暑さが異常になったことは、
みんな知ってます。

でも、その異常な暑さに
対応するための服装や道具まで、
いつの間にか普通になっている。

日本人は知らない間に、
夏の過ごし方そのものを
かなり変えていたんですよね。

その後、WEBで暑さ対策の商品を見ていたら、
もっと妙な言葉が出てきました。

人間冷蔵庫
知ってますか?

いかにも私が面白がって付けそうな名前ですが、
今回は違います。

トラスコ中山※1が販売する
「ど冷えもんBOX」の公式サイト

本当にこう書かれています。

「まさに人間冷蔵庫!
パーソナルクーリングボックス」


中に1人で入って腰掛けると、
約5℃の冷風が背面と上部から出て、
頭からつま先まで冷やしてくれる。

20分で自動停止。

これは、かなり直球です。
暑すぎる。
だから、人を冷たい箱へ入れて冷やす。

炎天下にいた人が箱へ入り、
約5℃の冷風を20分間浴びる。
まさに人間冷蔵庫

体験したいようなしたくないような・・・

でもまあ、今の夏の暑さ考えたら
ここまでは、まだ分からなくもありません。

工場や建設現場で使う商品を扱ってきた
工具商社が、現場の熱中症対策として
人を冷やす箱を作った。

かなり変わった視点ではありますが
話の筋は通っています。

ところが、さらに調べてみると、
もっと妙な会社が出てきました。

WEB会議用の個室で知られる会社まで、
人を冷やす箱を作り始めていたんです。

WEB会議の会社まで、人を冷やし始めた

ブイキューブ※2っていう会社、知ってますか?

WEB会議や個室ブース
テレキューブ」の会社です。

↓テレキューブ 羽田空港や那覇空港にも設置されてます。

そのブイキューブが2026年6月に発表したのが、
熱中症対策用の可動式ブース

「テレキューブクール プロ」
https://jp.vcube.com/news/20260612_1600

です。

で、公式に発表されてる
数字がかなりおかしいんです。

外気温40℃超、湿度60%でも、内部15℃以下。
外との温度差は25℃以上。
最大5人収容。

先行販売キャンペーンでは、
月額10万円・税別のサブスク。

頭部の表面温度が、
10分で38.7℃から33.1℃へ。

可動式ブースを手がけるNiFT※3と
約2年間、現場運用を重ねながらの共同開発だそうです。

このボックスがすごいのが
ただエアコンを付けただけじゃなく、
断熱・冷却・空気循環を一体化し、
外気温40℃超でも内部15℃以下という
環境を作っています。

外気温40℃超の現場から、
15℃以下の空間へ移動できます。

ここで、考えてみてください。
なぜWEB会議用の個室で知られる会社が、
人を冷やす箱まで作り始めたのでしょうか?

暑さが「個人の我慢」で済まなくなった

2024年、職場での熱中症による
死亡者・休業4日以上の疾病者は、合わせて1,195人。
調査開始以来、最多です。

これを受けて2025年の規則改正で、
一定の暑熱環境で働かせる事業者には、
熱中症の疑いがある人を早期に見つける体制。
作業からの離脱。
身体冷却。
医療機関への搬送手順。

これらを事前に整え、周知することが
求められるようになりました。
「求められる」と言っても、国が法律で
「冷却ブースを買え」と
言っているわけではありません。

ただ、会社側から見ると、
暑さはすでに、

「個人が水を飲んで我慢する問題」

では済まなくなっています。

今や暑さは、個人の体調管理だけでなく、
企業が仕組みと設備で対応する
経営課題になっているのです。

この記事では、こうした異常な暑さを、
服・センサー・冷却設備・休憩空間などの
技術で解決する商品やサービスを
酷暑テック」と呼ぶことにします。

暑すぎて、これまでと同じ常識や行動では、
夏の日中に社員へ仕事をしてもらえない。

そのような背景で、
企業向けの酷暑対策は、
服や飲料だけでなく、
センサー、冷却設備、休憩空間にまで
広がっています。

これが、2026年7月時点で見えてきた
酷暑テックの現在地です。

冷蔵庫会社だけが、作ってるわけじゃない

熱中症対策用の箱、販売してるの、実は
トラスコ中山とブイキューブだけじゃないんです。

積水ハウスは、
エアコン付き小型休憩スペース
ひんやりBOX」を
2025年に12現場で試験運用し、
2026年から全国展開。
大型休憩施設を置きにくい
戸建住宅の建設現場向けです。

金属加工会社の日創プロニティも、
断熱パネル製の熱中症対策ブース
COOL BASE」を、
2人用から7人用まで展開してます。

工具商社
WEB会議関連会社
住宅会社
金属加工会社

まったく畑違いの会社が、
それぞれ「人を冷やす箱」を作ってる。

なんだこれ?ってレベルの面白い現象ですよね。

同じ「箱」でも、中身は違う

この「酷暑テック」って言葉
最近、少しずつ、
聞く機会が増えてる言葉なんですが、
ほとんどの場合、
冷感シャツ、ハンディファン、日傘、
冷たい飲料あたりを想像しますよね。

でも暑さが強くなると、
箱まで商品になる。
しかも同じ箱でも、
役割が全然違います。

ど冷えもんBOXは、1人の全身へ
約5℃の冷風を直接当てる。

テレキューブクール プロは、
最大5人が入れる冷却休憩所。

ひんやりBOXは、
狭い建設現場にも置ける小型休憩スペース。

COOL BASEは、
組立式の断熱休憩ブース。

同じ「人を冷やす」でも、
その会社が元々持ってる技術や
売り先によって、
まったく違う商品になってます。

おわりに

「人間冷蔵庫」は、もう冗談ではありません。

工具商社のトラスコ中山は、
1人を直接冷やす箱を作った。

WEB会議用の個室を展開してきたブイキューブは、
最大5人が入れる冷却ブースを作った。

積水ハウスは建設現場用の小型休憩所を作り、
金属加工会社の日創プロニティは
組立式の断熱ブースを売っている。

この会社たちに共通しているのは、
冷蔵庫を作ってきたことではありません。

「暑すぎて、これまで通りに働けない」

この一つのお困りごとに、
それぞれが持っていた技術を向けたことです。

酷暑テックで面白いのは、
冷たい商品が増えていることだけではない。

これまでまったく関係なく見えた会社が、
「暑すぎて働けない」という
同じお困りごとの周りへ集まり始めていることです。

WEB会議の個室まで、
人を冷やし始めました。

次の酷暑テックを作るのは、
冷蔵庫会社ではなく、
あなたの会社かもしれません。


※1 トラスコ中山(TRUSCO NAKAYAMA)は、工場や建設現場などのモノづくり現場で使われる作業工具、切削工具、測定工具といった工場用副資材(プロツール)を専門に扱う大手卸売企業(専門商社)です。メーカーから商品を仕入れ、全国の販売店(機械工具商やホームセンターなど)へ卸す「問屋」に徹しています。

※2 株式会社ブイキューブは、東京都に本社を置く、Web会議システムや個室型ワークブース「テレキューブ」の開発・提供、およびイベントのライブ配信支援などを行う企業です。時間や距離の制約をなくすリモートコミュニケーション事業を展開しています。

※3 信州大学繊維学部 Fii(ファイバーイノベーションインキュベーター)内にある「NiFTラボ」は、株式会社NiFT(ニフト)が設立した、素材・人間工学・快適性の研究開発および品質検証を行うための研究拠点(ラボ)です。過酷な環境下での労働環境改善や熱中症対策製品(可動式冷却ブースなど)の性能テストを行っています



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