できない自分に名前をつける商売

事例

最近、SNSでよく見かけませんか?

風呂キャンセル界隈

最初に見たときは、
ん?風呂キャンセルって、
家で風呂入るのに予約入れるのか?
どういう意味?って
思いましたが、ちょっと調べてみると

どうやら、風呂・自炊・掃除みたいな
本来キャンセルするものじゃない
日常行為を、
あえて「キャンセル」と
呼ぶ言葉らしいです。

しかも最後に「界隈」がつく。
もう、言葉のクセが強い。


で、次に思ったことは

「いや、風呂くらい入れよ」

って思いました
思ったんですが、よくよく考えてみると
私も確かに、毎日のように
「今日は無理」や
「めんどくさい」を理由に

いろんなことをキャンセルしてる

例えば

早寝キャンセル界隈。
片付けキャンセル界隈。
自炊キャンセル界隈
すぐに返信キャンセル界隈。

でも、この「キャンセル界隈」という言葉、
ちょっと面白いな、って思ったんですよね

普通に言えば、

風呂に入れなかった。
自炊できなかった。
掃除できなかった。
外出できなかった。

こうなります。

こう書くと、なんとなく
後ろめたい感じがしませんか?
ちょっとダメな感じが出る。
人によっては、責められているように
感じるかもしれません。

でも、

風呂キャンセル界隈。
自炊キャンセル界隈。
掃除キャンセル界隈。

こう言った瞬間、
少し軽くなる感じしませんか?

同じ「できなかったこと」なのに、
名前がつくと、ちょっと笑える。

ここが面白いんです。

もちろん、体調やメンタルの問題を
笑いにする話ではありません。
風呂に入れない、食べられない、
外に出られない状態には、
深刻な背景がある場合もあります。

そこを茶化す意味ではなく
今回見たいのは

できなかったことに名前がつくと、
少し言いやすくなる

っていうことです。

できなかったことが、共感に変わる

「風呂に入れなかった」と言うと、
ちょっと重い。

でも
「今日は風呂キャンセル界隈です」
と言うと、少しだけネタになる。

この差、けっこう大きいです。

やってないことは同じです。
でも、聞こえ方が違う。

「だらしない」ではなく、
「あー、そういう日あるよね」
に変わる。

ここに名前の力があります。

今回の話は、心理学的に言うと
ラベリング効果に近い話です。

ラベリング効果とは、
名前やラベルがつくことで、
人の認識や行動が
変わるという考え方。

もちろん、
今回の「キャンセル界隈」を
これだけで全部説明
できるとは思いませんが、
かなり近い話ではあります。

でも少なくとも、

名前がつくと、
ただの失敗が

共有しやすい状態になる

これはかなりありそうなんですよね。

お笑い芸人チョコレートプラネットが
「風呂キャンセル界隈」の
MVまで作っているのも、
この言葉が
「ただの生活習慣の話」を超えて、
ネタとして共有できる形に
なったからだと思います。

お客さんは、そんなにちゃんとしてない

商品やサービスを売る側は、つい
「理想の人」に向けて話しがちです。

なぜかというと、作る側・売る側は
一所懸命、その商品のことを考えてるから
だからお客さんも
同じように考えてくれるだろう
と錯覚しがちなんですよね。

ちゃんと続けたい人へ。
本気で変わりたい人へ。
毎日コツコツ頑張る人へ。
自分を成長させたい人へ。

もちろん、この価値観での訴求も
大事です。
刺さる人もいます。

でも現実のお客さんは、
そんなに毎日ちゃんとやりません。

続けられない。
面倒くさい。
先延ばしする。
忘れる。
やる気が出ない。
買った教材を開かない。
申し込んだ講座の復習をしない。
お金払った段階で満足してしまう

最後の方、読んでて
少し胃が痛くなる人も
いるかもしれません(笑)
大丈夫です。
私も人のことは言えません。
同じようなもんですよ

ここで大事なのは、
お客さんは「理想の自分」を目指して

商品を買う人もいるけれど
そんな人しかいないわけではない、
ということです。

むしろ、

できない自分を責めずに済む入口

があると、反応しやすくなることがあります。

「自炊できない人へ」
と言われると、
少し責められている感じがする。

でも、

自炊キャンセル界隈の味方

と言われると、少し入りやすい。

「掃除が苦手な人へ」
より、

「床見失い界隈の救世主」

だと、ちょっと笑える。

「外出が面倒な方へ」
より、

外出キャンセル界隈の方向けサブスク」

の方が、軽い。

この軽さが入口になります。

企業もすでに使い始めている

この「〇〇界隈」

2024年の新語流行語大賞で
トップ10入りしており、※1
SNSだけにとどまらず、
若者の日常会話として浸透しています。

流行った理由はいろいろあります。
短い。真似しやすい。
自虐なのに重すぎない。
そして何より、
今日のリアルな自分を言いやすい。

だからSNSに乗りやすいんでしょうね。
それよりも重要なポイントは
単なる若者の流行語なのかというと
それだけではなく
すでに企業も、使い始めています。

たとえば「自炊キャンセル界隈」

この界隈、どんな商品やサービスと
相性が良いと思いますか?
マーケティング発想ができる方なら
簡単に気づくと思いますが、
冷凍食品や惣菜、時短レシピ等、
相性がいいですよね

「今日は料理したくない方へ」ではなく、
「自炊キャンセル界隈のみなさんへ」
と呼びかけると、罪悪感ではなく
「わかってくれてる感」が出てきます

掃除も同じです。

「掃除しましょう」だと正論です。

でも、正論って人を動かさないことがあります。
「わかってるよ、でもめんどくせーから
やりたくないんだよ」

ありますよね

その時に「掃除しましょう」
「掃除したくない方、いますか?」
ではなく


「今日は掃除キャンセル界隈のみなさん」
「床見失い界隈の方へ」
と言われたら、
「あ、うちのことかも」
となりませんか?
受け取りやすさを感じませんか?

BtoBでも、営業なら、

「見込み客への後追い、徹底しましょう」
より、

見込み客後追いキャンセル
界隈のためのCRM

この方が、入り口としてはやわらかい。

つまり、これはふざけた
言葉遊びではありません。

正論より、入りやすい入口

自社の商品を考えるとき、
つい正論を言いたくなります。

継続しましょう。
記録しましょう。
計画しましょう。
早めに相談しましょう。
毎日投稿しましょう。
掃除しましょう。
自炊しましょう。


あなたにとっては当たり前ですよね
毎日、その商品のことを考えながら
仕事してるんですから
だから、それは全部正しいです。

でも、正しいから顧客に刺さるのか?
必ずしも刺さるとは言えません。

むしろ、正しすぎる言葉は、
できていない人の耳には痛い。

痛い言葉は、防御されます。

「わかってます」
「でも忙しいんです」
「私には無理です」

になります。

だったら正しさをそのままぶつける前に

「営業活動キャンセル界隈」
「掃除キャンセル界隈」
「投稿寝かせ界隈」
「レシート迷子界隈」
「自炊キャンセル界隈」

みたいに軽く言われると、
責められている感じが少ない。

「あ、それ自分かも」
と抵抗なく受け入れられる。

この一瞬が大事です。

お客さんを動かすには、
いきなり理想へ引っ張るより、
まず今いる場所に名前を
つけてあげる方が早いことがあります。

自社に当てはめて考えてみて

最後に、せっかくなので実践です。

あなたのお客さんが、
「できなくて少し後ろめたいこと」は
何でしょうか?

そこを一度、書き出してみてください。

たとえば、

① 続けられないこと
② 面倒くさいと思っている工程
③ 先延ばししている作業

この3つです。

そして、それに
責めない名前を1つつけてみてください。

ポイントは、バカにしないこと
見下さないこと、です。

「できない人」
「ズボラな人」
「怠け者」

こういう言い方は避けてくださいね。
それだと「攻撃された」「否定された」
になります。

そうではなく、

「あ、それ自分もある」
と笑えるくらいの名前にしてください。

お客さんのできなさを責めるのではなく、
少し軽くしてあげる。

それだけで、
商品やサービスの入口の場所と
広さが変わります。

広告を打つ前に、
商品名を変える前に、
まずはお客さんの
「できなかったこと」「できないこと」
に名前をつけてみる。

そこに、次の売り方の
ヒントがあるかもしれません。

※1新語流行語大賞出典➡https://www.jiyu.co.jp/singo/index.php?eid=00041

コメント

  1. ふみや より:

    ダイエットキャンセル界隈の方へはどんな言葉がありそうですか?

タイトルとURLをコピーしました