大人はおもちゃが欲しい。でもおもちゃ売り場には行きたくない

事例

えっ・・・これがレゴショップ???

先日、東京出張の際、
いつものように市場視察
というか取材に行きました。

その際、予定にはなかった
レゴショップに足を踏み入れました。

「足を踏み入れた」ってわざわざ
とってつけたような書きかたをしたのには
理由がありまして、
入ったときはそこがレゴショップだと
思わずに入ったんです。
そう、文字通り「足を踏み入れた」
感じでした。

なんで?

↓の写真見てください


レゴショップに見えます?

巨大な花のオブジェが、
天井に向かって咲いてます。
棚に並ぶのは、蘭、バラ、盆栽、桜。
箱は黒基調。
展示は静謐で、落ち着いてます。
そこは、どう見ても、
インテリアショップに見えたんです。

そこで自分の頭の中に
強力なアラートが鳴りました。
「え?レゴショップって
こんなことになってんの?
なにこれ?????」

なんで????かというと
あまりにも、自分が知ってる
レゴのイメージと違うから
心のどこかで思っていたことはこれ

レゴショップ=
子どものおもちゃ売ってる店だな

だが、売り場に一歩入った瞬間、
その認識は完全に崩壊しました。

当然、お客さんは全員、大人
子どもはひとりもいませんでした。

大人たちが、手に取って商品を吟味
迷って、そして買っていました。

その瞬間、私の頭の中に
走った強力な違和感

「これ、自分が知ってるレゴじゃなくて
大人が堂々と買える趣味になってる」

大人なのにレゴを衝動買いできる

考えてみれば、
不思議な話だと思いませんか?

価格は安くないんです。
だいたい数千円から、
ものによっては数万円します。

そして当然、必需品でもないです。
なくてもまったく困らないもの。

そもそも、ブロックを
組み立てるという行為自体、
子どもの遊びのはずだと
私は信じて疑わなかったんです。

それでも、目の前で
大人たちが財布を開いてます。

なんで?

ここに、マーケティング的に
本質的な問いが隠れているんです。

大人はなぜ、おもちゃに見えないおもちゃなら買えるのか?

原理:
大人のための「言い訳」を設計せよ

答えをシンプルに言いますね。
大人も遊びたい。
でも、「おもちゃを買っている自分」は
恥ずかしい。

これがこの現象の本質。

ぜひ、ご自身に当てはめて
考えてみてください。

子どもの時と同じように、

モノを作りたい
何かに没頭したい
集中して遊びたい
飾りたい
それを贈りたい

思ったことないですか?

でも、「おもちゃを買う」
という行為には、
どこかバツの悪さがありませんか?
それは
「いい大人が何やってるんだ」という、
見えない他者の目線。

あるいは、自分自身の中にある
「さすがにそれは子どもっぽいだろう」
という
抵抗感や罪悪感だったりします。

そのことを前提に、
レゴがやってること、それは

遊びを、別の言葉に翻訳

してるのです。

レゴがやっている「4つの翻訳」

レゴは今、「Adults Welcome」という
大人向け文脈を明確に作っています。
その中にはスター・ウォーズ、アート、
乗り物、Botanicals=
自然・動植物など多様な
シリーズがあります。
このシリーズ、
公式サイトや店頭POPを見ると
18+」と表記があります。

つまり、「対象年齢18歳以上」
という年齢表示に
一見、見えますよね。

通常「18+」という表記を見ると、
アダルト商品や年齢制限のような
印象を持つ人もいるかもしれません。

でもレゴの「18+」は、
販売制限というより、
「これは大人向けに
設計された商品ですよ」
というサインに近い。

この表記をすることによって

大人大歓迎。
これは子ども向けの
簡単なおもちゃではなく、
大人が時間をかけて
楽しむための商品ですよ。

そう言ってくれているように
見えるのです。

この時点で大人が買う際の
心理的ハードル
ものすごく下げてます。

そして、このシリーズ、分解すると、
見事な翻訳が4層構造で施されています。

① おもちゃ → インテリア

完成した「作品」は棚に飾れ、
部屋に置けるクオリティです。
盆栽や花などの植物、
スターウォーズなど
往年の名作映画のキャラ、
レトロカーや旅客機など
バリエーションも多彩です。

遊ぶ」ではなく「飾る」という
言葉をつかえるようになった瞬間、
大人にとっての購買の
心理的ハードルは激減します。

②おもちゃ → ギフト

インテリアとして扱えるということは
贈り物として価値が高い
という応用が効きます。

「自分が欲しい」と言わなくていい。
センスが感じられる
黒くて落ち着いた箱も
ギフトには欠かせません。

 「プレゼントにもなるから」
という理由が生まれた瞬間、

財布は開きます。

③ おもちゃ → 没頭時間

組み立てる作業そのもの=
現代人が渇望している没頭体験

スマホから離れ、画面を見ず、
手を動かし、集中すること

それは「遊び」ではなく
リラックスであり趣味時間であり、
頭を空っぽにできる没頭体験です。

④ おもちゃ → 高難易度模型

レゴ公式サイトの
大人向けレゴページでは
大人のために開発された
難易度の高いレゴセット」と
ハッキリと明記されています。

その文脈で紹介されている
商品のひとつが
葛飾北斎の
「富岳三十六景神奈川沖浪裏」


子どものおもちゃとは程遠いですよね

ここがマーケティング的に面白い

レゴの機能的価値は変わってませんよね?
ブロックを組み立てる商品である、
ということ。
 
じゃあ、何が変わったのか?
売り方・見せ方・意味づけ
要は、子供向けの「遊び」を
大人向けの
「趣味」「癒し」「インテリア」に
変換した、と言えます。
重要なのはここです。

レゴが変えたのは
「商品」ではなく「買う理由」

その変換によって、
まったく別の市場を開いた
と言えます。

顧客目線でとらえなおすと

人は商品そのものではなく、
その商品を
買ってもいい理由を買っている。

これはレゴだけの話ではない

実は、日本の玩具市場、
伸びてるって知ってました?
日本が抱える最大の課題の一つが少子化
少子化という背景がありながら、
玩具市場は拡大

日本玩具協会によると、
2024年度の
国内玩具市場規模は1兆992億円、
前年度比107.9%で過去最高

なんで?

ここにあるのが
キダルト層※1」の台頭です。

このキダルト市場、一言で言うと

大人が自分のために玩具を買う人たち

ってこと

例えば

・リカちゃん人形
・トミカプレミアム
・超合金
・シルバニアファミリー
・たまごっち

井村屋の「あずきバー」を超合金化。実物大のあずきバーがロボットに変形。キダルト市場でヒット。価格13,750円(税込)


もちろん、各ブランドで
やり方は違います。
ただ共通しているのは、
「子どものもの」と思われていた商品が、
大人のコレクション、ノスタルジー、
推し活、インテリア、

趣味時間として
再定義されている点です。

キダルト市場の顧客は
「子どものものを買っている」
わけではなく
大人向けの文脈で、大人向けの言葉で、
買っているのです。

大人市場全体で
買う言い訳の再設計」という、
構造的な変化が起きている、と言えます。

あなたのビジネスに転用するとしたら

せっかくなので、
あなたの商品・サービスでも
ぜひ考えてみてください。

ただ、あまり大上段に
「商品の価値を変えよう」と
大きくとらえる必要はありません。

まず、見るべきは
その商品、
誰向けに売ってますか?
誰向けだと思われてますか?

例えば

子ども向けだと思われている
若者向けだと思われている
女性向けだと思われている
初心者向けだと思われている
マニア向けだと思われている

こういう
思い込みの枠」がある商品は、
別の層が買いたくても、
買う理由が弱い、
買いにくいことがあります。

たとえば男性向け化粧品市場などは、
「化粧品=女性のもの」という
思い込みの枠
を外し、
清潔感・身だしなみ・
ビジネスマナーという
文脈に翻訳することで、
市場が広がった典型例です。

売れない理由は、商品力不足ではなく、
「自分が買っていい商品だ」と思える
入口がないだけかもしれません。

おわりに

大人も遊びたい。
でも、「おもちゃを買っている自分」は、
少し恥ずかしい。

レゴはそこを、静かに、
鮮やかに見抜きました。


遊びを、インテリアに、ギフトに、没頭時間に、
そして
作りごたえのある大人の趣味
翻訳しました。

だから大人が、堂々と店で商品を選び、
財布を開いています。

レゴがやったのは、
玩具を売ったことではなく、

「大人も買っていい玩具」に
見え方を変えたこと。

それは、価値観の再定義
というよりもむしろ
対象者の再定義
と言えます。

※1キダルト市場=「kid」と「adult」を合わせた言葉で、大人が自分の趣味・癒し・コレクション・推し活などのために玩具や関連商品を購入する市場のこと。少子化が進む中で、玩具市場を支える重要な層として注目されています。

あなたの商品やサービスにも、
まだ届いていない人がいるかもしれません。

商品を変える前に、
まず「誰が買っていいものに見えているか」を疑ってみる。

その翻訳こそ、マーケティングの仕事です。
その「買っていい理由」を
一緒に設計するのが、私の仕事です。

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逆襲の戦略マーケター山内 東
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