子どもの世界を支配した謎の生物 現代のバズのメカニズム 

事例

この生き物、知ってる?

お子さんがいらっしゃる方、

最近、こどもが、呪文みたいな言葉を

しゃべってる、ってことないですか?

それの話です。


2か月くらい前かな?

Yahooニュースをぼんやり眺めていたら、

見慣れない単語が目に刺さりました。

トゥントゥントゥンサフール

サムネイルには茶色い変な生き物

……は? なんだこれは。

目がバグったのかと思って、

3回読み直した。

記事を開いた瞬間、思った。

かわいくない。

いや、ほんとに、全然かわいくない。

↓これがトゥントゥントゥンサフール

最初の感想は

「どこに需要あるんだこれ?」

でした。

ここからが驚いたんだけど、

記事には、これが子供たちに

大流行って書いてる

YouTubeにたくさん、動画も上がってて

何個か見てみたけど、なんじゃこれ?

って感じでした。

その後、なんとなく気になってたので、

子ども嫌いの私ですが、

子どもが集まってるときとか

親戚・友人の子どもがいるとき、

必ず聞くようになりました。

そうすると、ほぼ全員、同じ反応

山内「トゥントゥンサフールって知ってるか?」

子ども(食い気味に)

   「トゥントゥントゥンサフールだよ!!」

山内(食い気味に言われてちょっとイラっとしながら)

  「まあどっちでもええけど・・・」

子ども(なにも問いかけてないのに)

  「トララ〇×◇▲-X〇」(判別不明)

ホントに全く同じリアクションしてくるんですよね。

その後、ヒアリングを繰り返し、

だんだんわかってきたこと

・たくさんキャラがいる中の

主役的ポジションが

トゥントゥントゥンサフール

・名前をたくさん憶えてる子が

すごいとされている

・みんなが口にする呪文は

「トララレロ・トラララ」(↓参照)

っていうキャラの名前

・聞いてもないのに、

 キャラの名前を言い続ける子供続出

あたりでした。

そのあたり、「おもろっ」って

思い始めました。

なんでこんな意味不明の

気色悪い生き物が

大流行してんだ?



っていう状態がおかしくて

しょうがない感じ、かな?

ココはあんまり共感は

してもらえないかもしれませんが

私、個人の感覚として

読んでもらえれば良いんですが、

この、自分にとってはかわいくもない

面白くもない生き物、

見たいとも思わない

でも流行ってる

っていうザラッとした感覚

この感覚がとても面白く感じてしまうんですよね。

なんでこんなもんが

流行してるのか?

その根源とか中心にあるモノを知りたい

かならず、バズるに至った構造が

あるはずだ。

それはなに?

っていう好奇心だと思います。

これは、マーケティングを仕事にしてるから

っていうのもあるかとは思いますが、

若い時からそうでした。

ということで、今回は

このかわいくもない謎キャラ

トゥントゥントゥンサフールの大流行を

逆襲マーケター視点で分析します。

基礎知識

とりあえず「トゥントゥントゥンサフール」ってググってみましょう

だいたい、↓みたいな解説が出てくると思います。

「トゥン トゥントゥン サフール」(Tung Tung Tung Sahur)とは、インドネシア発祥のTikTokミームで、ラマダン(断食月)の早朝の食事の時間を知らせる太鼓の音をモチーフにしたAI生成キャラクターです。不気味でありながらもユーモラスなキャラクターと、「イタリアンブレインロット」という不条理なネットミームの一種として人気を博しました。

何じゃそりゃ?だらけですよね?

ティックトックミーム?

AI生成キャラクター?

イタリアンブレインロット?

って思ったことかと思います。

このイタリアンブレインロット、

を紐解くことが、

トゥントゥントゥンサフールの

流行を考えるうえで重要ですので

そのあたり、詳しく見てみましょう。

イタリアンブレインロットってなに?

イタリアンブレインロットとは

AIが生成した奇妙なキャラクターに

イタリア語風のナレーションを組み合わせた、

SNS発のミームのこと

※ミーム=ミーム→インターネット上で広く拡散される面白い画像や動画、文章などのコンテンツ、またはその拡散される現象を指します。元々は、文化の中でアイデアや行動が人から人へ模倣されて広がる様子を指す言葉

ブレインロットとは

直訳すると「脳が腐る」という

ネットスラング

脳が腐るほど中毒になる

という意味

「イタリアン」がついてるのは

イタリア語っぽい、っていうこと

要するに、イタリアンブレインロットっていうのは

ネット上ではやってるムーブメントのひとつで、

生成AIを使って作ったキャラにイタリア語っぽい

言葉を組み合わせて

イラストや動画で拡散する活動

その中の有名なキャラが

トゥントゥントゥンサフール

ってことになりますね。

ではイタリアンブレインロットの特徴

もう少し詳しく見てみましょう

イタリアンブレインロットの特徴

特徴① 作り手が存在しない

最大の特徴がこれ

これまで、人気者になったキャラは

すべて作者、がいました。

イタリアンブレインロットは

生成AIで作られているため

ある意味、作りてがいない

状態です。

まさに生成AIがある

現代だからこそ生まれた

キャラクターだと言えます。

特徴② 生き物×なにか の組み合わせ

キャラクターは、

動物やその他の生物の

下半身や体の一部が、

バナナやタイヤ、ヘルメットなどの

物体と合体したような

奇妙な外見をしています。

特徴③ イタリア語っぽい名前

キャラクターには

イタリア語風の名前が付けられ、

イタリア訛りのようなナンセンスな

ナレーションや歌が組み合わされています


一例↓

アバンティ・レモーネ

エスプレッソ・ヴィエナ

トララレロ・マルゲリータ

トララレロ・トラララ

チンパンジーニ・バナナニーニ   

ナポリタン・フューネラル           

ニュークレアロ・ディノサウロ      

バレリーナ・カプチーナ  

ルチアーノ・バスティーノ

ピスタチオ・ペルディータ           

フォカッチャ・ディアボロ

特徴④ キモカワ またはキモキモ

見てのとおり

          ボネカ・アンバラブ
        トリッピ・トロッピ
ウ ディン ディン ディン ディン マ ディン ディン ディン ドゥン
      チンパンジーニ・バナニーニ
バレリーナ・カプチーナ
        ボンボンビーニ・グジーニ
ダル・ダル・ダル・ダル・センダル・ルダル
       カーケルカール・クルクル

どうでしょう?

まずはイタリアンブレインロット

について理解できましたか?

ではここから

トゥントゥントゥンサフールがなぜバズったのか、

逆襲マーケティング視点で分析していきますね

で、トゥントゥントゥンサフールってなに?

ここまでの解説も踏まえて説明すると、

イタリアンブレインロットの中の

人気のキャラクターの一人

名前の語源はインドネシアの

ラマダン(断食月)の際に、

夜明け前の食事=サフールを告げる

太鼓の音=トゥントゥントゥン、

を模したAI生成のキャラクター

ってことになります。

太鼓の音を模したキャラクター・・・

音を模したキャラクター・・・・

凄い発想ですよね。

Webで調べてみると

持ってる棒で食事をとらない人を叩く

っていう説もあり、

子どもがハマるキャラがこんなに暴力的・・・

それも含めて「オモロっ」て感じです。


冒頭に書いた通り

なんでこんなもんが流行してるのか?

その根源とか中心にあるモノを知りたい

かならず、バズるに至った構造が

あるはずだ。

それはなに?

というわけで、ここからは

逆襲の戦略マーケター的

トゥントゥントゥンサフール

「なぜバズった」分析5ロジック

お届けします。

なぜバズった?

① 「意味が無い」からこそ、合言葉になった

まず前提として、あのフレーズ=

「トゥントゥントゥン」は本来、

インドネシアで

「サフール(断食前の食事)」を

呼びかける太鼓の音が元ネタ。

つまり、本来は意味があるんです。

でも、インドネシア人以外の子どもたちは

その文化的な解釈は

わかるはずがないですよね?

結果、意味のない音列として

受け取ってると思われます。

これが子供たちには刺さってます。

「意味がない」

ということは、裏側から見ると

「理解の差が生まれない」ってこと。

理解しなくても誰でも

「とりあえず言える」状況を作ってます。

そして、この無意味≒意味の分からなさ は

秘密の合言葉的な意味を産み

帰属意識の共有につながります。

子どもたちは

「知ってる?」「言える?」

で、即・仲間認定してるようです。

意味を理解する必要がないから、

「合言葉」としての

ちょうどいい感じですね。

真似して言うだけで仲間。

それがバズの強力な推進力になってます。

② 音(リズムの快感)が強制的に脳へ刺さる

「トゥン→ トゥントゥン→サフール」

口に出したくなるよね?

意味より先に、リズムが脳に刻まれる感じ

「トララレロ・トラララ」

最初、何じゃそりゃって思うけど

一回覚えると、人に教えたくなるよね?

バレリーナ・カプチーナ

ボンバルディーロ・クロコデイロ

ウ ディン ディン ディン ディン マ ディン ディン ディン ドゥン

ダル・ダル・ダル・ダル・センダル・ルダル

ティティティティティティティティティサフール

リリリ・ラリラ

ウドン・ドン・ドン・ダン

トリッピ・トロッピ

ベドゥグ・クトゥド・ブラク・クドゥク・クドゥク・ベクク・ベングコク

子どもたちが一所懸命

覚えて口にしたくなるのが

なんとなくわかりませんか?

しかも、TikTokやリールで

1〜2秒単位のループで流されるから、

「気づいたら覚えてる」状態が起きるんだと思います。

好きか嫌いかなんて関係なく

耳が勝手に覚えてる感覚

この「意識を乗り越える」感じの音

流行の一つの条件です。

↓日本ではこの曲もバズってます

参考までに

③コレクターズアイテム化する「増殖性」

トゥントゥントゥンサフールは、

「1キャラがバズった」パターンではないですよね

最初から、

・種類が多い

・役割が違う

・見た目が違う

・名前が違う

・カテゴリが色々ある

という「キャラ群」全体が存在しています。

だから子どもは

「どれが好き?」

「どれ持ってる?」

「これ知ってる?」

「このシリーズのコレ見た?」

と 「集める・比べる・語る」

 という行動に移りやすい構造になってます。

子どもは本能的に

「集められるもの」を好むから。

だからトゥントゥントゥンサフールは

「キャラでバズった」ではなく、

「世界観ごとバズった」感じですね。

似た要素を持つバズリコンテンツとしては

ポケモン、があげられますね。

④ 絶妙な気持ち悪さ

キャラが絶妙に気持ち悪いっていうのも

重要な要素ですね。

怖くはない。

可愛くもない。

それなりに気持ち悪い。

でも、なぜか見てしまう。

この絶妙な気持ち悪さが

子どもの目をとめさせてます。

気持ち悪くてもホラー感が弱いから、

いじったり真似したりしやすい。

すでに、ガチャやフィギュア展開が

始まっているのもうなづけます。

見た目の「異物感」が、面白さとして

成立してる証拠ですね。

同じ系統の特徴を持つコンテンツとしては

「こびとづかん」があげられます。

⑤「誰でも作れる・誰でもいじれる」構造

トゥントゥントゥンサフールを含む

イタリアンブレインロットは

AI系キャラの常で、

生成の出自が曖昧なまま

素材として流通しました。

誰が作ったかもはっきりしない。

IP管理も追いついていない。

動画も、スタンプも、ゲームへの組み込みも、

「やっていいのか悪いのか

誰も判断できないグレーの状態」

だったのは事実です。

実はここが流行のコアの一つ、

作っていいか分からないものが、

最も作られる

AI時代の特徴そのものとも言えますね。

文化を雑に扱っている

宗教的なモチーフを軽く消費している

元ネタを理解していない人間が改変しまくっている

当然、この点には批判や炎上もあります。

こそれは事実

しかし、この倫理的グレーゾーン

みんなやってるから問題ない

という環境が、

クリエイターの参入障壁を完全に

ゼロにしたと言えます。

誰でも作れる

誰でも真似できる

誰でも改造できる

誰でも「二次創作の作者」になれる

つまり、UGC

(SNSにおけるユーザー生成コンテンツ)の

総量が指数関数的に

跳ね上がる条件が揃ったと言えます。

結果、誕生して数か月という

超短期間で

TikTok・リール・ゲーム・スタンプの

全方向に同時拡散しました。

この「誰でも作れる・いじれる」

という文脈で見ると

トゥントゥントゥンサフールは

現代のトレンドの象徴

的な存在と言えると思います。

この切り口の結論としては

「文化的に不謹慎かもしれないけど

誰でもいじれてしまう」という

AI時代特有のフリー素材性が、

最大のバズエンジンになった。

というとらえ方ができます。

おわりに

どうでしたか?

子どもたちが狂ったように口ずさむ、

あの「かわいくない生き物」

大人には理解不能。

でも子どもは全員知ってる。

こういう現象こそ、

いまの時代の象徴だと思います。

実践編は無しね

ここで本来なら、

「さあ、あなたのビジネスに

当てはめて考えてみましょう」

と書くべきところなのですが、

今回はやりません。

なんで?

今回の5要素をそのまま入れたからといって、

新キャラを作ろうが、

新プロジェクトを立ち上げようが、

まずバズりません。

結論

誤解しないで欲しいんですが

分析自体は間違ってないですよ

流行の「必要条件」としては

間違いなく成立してるはずです。

でも――

バズるためには「必要十分条件」に

なっていないんですよね。

だったらその足りない要素

だせよ、って思ったかもしれませんが

結論から言うと、

流行は「設計」では

再現できない領域が大きすぎるんです。

例えば

・世界中の子どもたちが今、感じてる

「時代的な空気感」と合うかどうか?

・最初の数投稿を握った

インフルエンサーの拡散力が強いかどうか?

・賛否両論の議論が同時に加熱するかどうか?

・自動増殖するコンテンツ文化が熟成してるか?.etc

こういう「偶然のドミノ」が連続して初めて、

世界規模の波になると言えます。

つまり、今回の5要素はあくまで

流行させる前の整地作業

の位置づけですね。

バズそのものは、

時代・文化・アルゴリズム・議論・偶然が、

全部ひとつのレールに

重なったときにだけ起きるものなんです。

だから、

「分析したから再現できる」ではなく、

「分析できたから観察力が鋭くなり、

今後の自社ビジネスに活かせる」

これが今回の結論であり、

皆さんにお伝えしたかったことです。

流行は、作るものではなく、

多角的な分析視点で「設計する力」を

高めた人だけが、はじめて、近づける現象。

それは、ブランドを立てようと決めたからと言って

高級ブランドができるわけではなく

市場に高い価値を提供し続けた

その先にあるのが「ブランド」であることと

同じ構造とも言えます。

そこに気づいて時点で

少しずつ、「時代の波」を読めるように

なってると言えます。

最後に、私もイタリアンブレインロット

つくってみました。

名前は マグロッティ・カタナーロ  です

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コメント

  1. 比嘉史弥 より:

    楽しく読ませていただきました!
    今後どうなるのかな?と疑問に思ったことがあるんですけど、
    ・アンパンマンのように流行り続けるのか?
    ・
一発屋として終わるのか?
    ・こういったイタリアンブレインロットが次々にでてくるのか?
    と少し気になりました。

    PS:マグロティ・カタナーロ名前もキャラのイラストも最高です!

    • inukun255 より:

      コメント、ありがとうございます。

      はやり続けるのか?一発屋で終わるのか?
      現実に即したマーケター発想で真正面から答えると「わからない」が答えになってしまうのが無力感、ではありますが実際、そうなんですよね。
      「流行」は不確定要素が多すぎて、必要十分条件が探れない、って本文に書いたと思いますが、継続性についても同じなんですよ。

      ただ、生成AIがドンドン活用される潮流=トレンド、は当分続くと予測できるので、その意味ではしばらくは続く、そして、もしかしたら、「ジャパニーズブレインロット」みたいなのも出てくるかもしれないですね。
      和食はじめ、日本文化がインバウンド背景もあり、すでに世界中で市民権を得てるのは周知のとおり。
      そんな日本文化がフィーチャーされるのは当然、ありえるとして(すでにいます→プッチーニ ズッシーニ=寿司+猫)それ以外にも例えば
      日本語ほど難解な言語は世界でも稀、そして、日本人の曖昧さとか感じには音読みと訓読みがあるとか、そのあたり、海外の方が取り上げてくれたとしたら面白いんじゃないかと思ってます。

      ・日本人の曖昧さの象徴「だいじょうぶ」って言葉と何かの生物を掛け合わせました
      ・感謝してないのにありがとうっていう状態となにかの生物を掛け合わせました

      みたいな

      「言葉と何かを掛け合わせる」「状態と何かを掛け合わせる」→意味不明、どういう意味?ですよね?
      でもね「トゥントゥントゥン」っていう太鼓の音を模したキャラクター、も意味不明ですよね?

      webが世界のインフラになり、生成AIで言葉や論理や習慣の壁を容易にロジックで超えられるようになった今、「中の人」=(この場合、日本人)からしたら、全く予測のつかない角度から、日本を面白がってくれる、みたいなムーブもありなんじゃないかと思ってます
      これは日本に限らず、世界中、同じ。

      そういう観点からは、イタリアンブレインロットが継続するかどうかはわからないけど、この生成AIを使った自然発生的なムーブメントは、当分、加速するんじゃないかな~とは思ってます。

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