みきゃん?それなに?
先週末、ふるさとの
愛媛県松山市に行きました
私の唯一の趣味のマラソン
松山市では毎年、
この時期に愛媛マラソンが
開催され、マラソン出場のに、
松山空港へ降り立ちました。
松山空港、行ったことある方、
わかると思いますが
↓の写真の感じ



このキャラは何?
このキャラは「みきゃん」っていう
名前のゆるキャラ
愛媛県公認の
イメージアップキャラクターです。※1

で、空港の中、大げさではなく、
どこを見ても
みきゃんだらけ。
まみれてると言っても
いいくらいの状態なんです。
いつものことながら
「他にないんかい?」って
心の中で突っ込みながらも
「まあ、愛媛だし」って思ってる
自分もいるんですよね。
この状態、実は松山空港の外でも頻発
街中、どこにいってもみきゃんだらけ
私が生活してた30年前
(いつの話?ではありますが)
には、無かった状態なので、
故郷を離れて長い身にとっては
これはこれで新鮮だったりします。
沿道の応援が暖かくて途切れないこと
が人気理由の愛媛マラソンの沿道も
全部とは言いませんが、
少なくともみきゃんが見当たらなく
なることはないくらい、
県民にも浸透しています。

マラソン走りながら、
わが故郷ながら、この状況って
マーケティング的に実はかなり
面白いんじゃないか?
って思って、
リサーチ&分析をしてみました。
何が面白いの?
そもそも、なんで面白いと思ったかというと
その切り口は2つ
①あれ?昔はバカにされてなかったっけ?
私が子供のころ、給食に週に1回
ポンジュースが出てたことに端を発し、
「愛媛県の学校は蛇口をひねると
ポンジュースが出る」
みたいな都市伝説にされてたのも
覚えています
どう聞いても、
ネガティブな捉え方しかできない
話だったんですが、
今や松山空港の一等地で
蛇口からミカンジュース、
高い価格で売れています
(1枚目の写真参照)
こんな大転換、いつ起こったんだ、
っていうのが一つ目
②実は生産量1位でもない
実は愛媛県、みかん生産日本一って
思われてますが・・・・・

そうなんです。
そんなにぶっちぎり1位でもないんです
むしろ、年によっては負けてます
さらに、愛媛には、
実は他にもいろいろと日本一の
生産量のものもあったり
おいしいものもあったり

それでもみきゃんを最大限、活用した
ブランディングを実施しています。
愛媛県はどうなりたいの?
令和5年の愛媛県の
「広報公聴基本戦略」のなかでも
愛媛県のイメージアップ戦略の
中心にみきゃんを置く、と明記されており、
愛媛県としても、
戦略的に活用してることがわかります。
つまり、県をあげて「みきゃん推し」を
推進してるのです。
これ、ねらい、わかりますか?
これはマーケティングで言うところの
「第1想起の獲得」※2
いうなればブランディングの最上級GOAL
が欲しいポジションですね。
わかりやすい例え=
日本で一番高い山は?→富士山
日本で2番目に高い山は?→???
ってやつですね。
ここが取れればどうなるか?
「みかんと言えば愛媛県」が獲得でき、
みかんを見るたびに
愛媛県を思い出してもらえる
という状態が生まれます。
こうなれば
都道府県のブランディングとしては成功、
と言えることは理解していただけますよね?
実際、みかん=愛媛県になってるの?
では実際、どうかというと
第1想起=
みかんと言えば愛媛県
になってる、と断言できる
客観的データはありません
マインドシェアって言うんですが
「みかん」と聞いて思い出す県は、
現状では愛媛県・和歌山県・静岡県あたりが
混在してる状態でしょう
それでもなお、県と県民が、
私から見たら執念とも思えるしつこさで
みきゃんとみかん押しを続けるのはなぜ?
それは「間違った戦術」ではなくて
現状のフェーズ=段階、の問題です。
つまり、「みかんと言えば愛媛県」の
一段手前の階段=
「愛媛県と言えばみかん」を
とりにいく段階、ってことなんです。
属性→地域 これは難しい
でも
地域→属性 なら、競合
(この場合、和歌山・静岡)に
影響されることなく、出来ますよね?
そのフェーズを推進してる状態、
と言えます。
実はこのフェーズ、
すでに結果にに結びついてまして、
その証拠データが↓

見てのとおり、みかんばっかりに
なってますよね?
執念レベルでそこまでやるのはなぜ?
ここ、ブランディングにとっては
実はかなり重要
よくありがちな失敗例としては
特に地域ブランディングにおいて
一度、訴求する価値を
決めたはずなのに
いつのまにかあれもこれも、
になってしまう
そうなると受け取る側からしたら、
何が魅力なのかよくわからない
状態になり、魅力が半減します。
第1想起の獲得
で重要なのは、いわば
積み上げ ではなくて 刷り込み
と言えます。
一度決めたら、
とにかく第1想起にたどり着くまで
絶対にブラさない
一度でも主役を分散させてしまったら、
リセットとなります
おそらく、そこまでの覚悟をもって
県も民間レベルでも推進してるはずです。
だからこそ愛媛県は
みきゃんのキャラクター使用に関して
使用は無償、でも事前承諾性にし、
誰でも使える かつ 勝手に崩されない
をルールとしているのです。
じゃあ現在位置は?
ここまで書いてきたような
執念をもってしても
結局、第1想起は取れてないの?
と思ったかもしれません。
実際、愛媛県のみかんブランディング
現在位置としては

つまり、「みかんしかない」とは正反対
この辺りの統計結果から考えるに
おそらく、第1想起に
かなり近い位置まで来てるのは
間違いないと思われます。
ちなみに、ここまで読んで
熊本県のくまモンを
思い出した方もいるかもしれません。
ただ、両者は似ているようで、
設計思想が違います。
くまモンの場合、
キャラクターそのものが主役として立ち、
その圧倒的な存在感で、
結果的に熊本全体の
ブランドを牽引しました。
一方、愛媛県のみきゃんは、
あくまで「みかん立県」という
主役が先にあり、
それを誰にでも一瞬で伝えるための
翻訳装置として設計されています。
だから、どちらかというと、お隣の
香川県の「うどん県」構想に
近いと言えます。
結論
ここまで見てきて思うのは、
愛媛県のみかんブランディングは、
派手な成功事例ではありません。
むしろ、かなり地味で、単調で、
時間がかかるやり方です。
でも、ブランディングで一番多い失敗は、
最終ゴールを、いきなり取りにいくこと。
「みかんと言えば愛媛県」
このポジションを取りたい。
それ自体は、正しい。
ただ、その一段手前にある
「愛媛県と言えばみかん」を
取れていない状態で
一気にそこへ行こうとすると、
必ずブレます。
始めたばかりのビジネスや無名の存在で
ブランディングが・・・って語るほうが
ムリ筋なのです。
だから愛媛県は、
派手な差別化ではなく、
主役を一つに固定することを選んだ。
あれも言わない。
これも足さない。
途中で方針を変えない。
結果として、
「みかんしかない」と言われるくらいまで
やり切っている。
でもそれは、弱点ではありません。
「みかんしかない」は、覚悟を決めた宣言
と言って良いと思います。
ブランディングで一番大事なのは、
実は、何をやるかより、
何をやらないかを決めること。
敢えて言うと、こっちの方が大切です。
あれもできますこれもできます→
顧客目線「何もできないんだね」
これだけは誰にも負けません→
顧客目線「ここだけは信用できる」
愛媛県は、
「全部盛り」を捨て、
県の顔をみかんに固定しました。
『みきゃん』という統一資産を使って、
しつこくしつこく
反復刷り込みを設計している
これは偶然ではなく戦略です。
ブランディングは、
センスでも、派手さでもありません。
フェーズを間違えず、
覚悟を持って、同じ方向に向かって
価値を提供し続けることができるか?
市場の期待を
上回り続けることができるか?
結局はそこに尽きるよ、って話でした。
追伸
ここから先は個人的な
想いを書きますね
これは完全に県民性っていうことに
なると思いますが、
私から見てても、故郷、
愛媛の人って、ことさら愛媛や
四国や地元自慢を大声で
叫ぶわけでもなく、
周りの県と比較してどっちが優れてる、
って言いまわることも
ほとんど聞いたことがない
穏やかな県民性なんです。
ということは
山内さんはそこの出身じゃないんじゃない?
って思ったあなた。
物事には原則と例外があります
私は例外の方です(笑)
で、そんな穏やかな県民性の
わが故郷が、みきゃんを使った
「執念」とも見える戦略的な動きで
ブランディングが成功しかけてる状況
とてもうれしく誇らしく思います。
ということで読者の皆さんにも
みきゃんと愛媛のかんきつ類と
愛媛県、知ってもらえると
嬉しいです。

※1 みきゃん
2011年に登場した愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」。 2015年のゆるキャラ®グランプリではインターネット投票1位、総合では準グランプリを獲得し、全国的にも一躍有名になりました。関連キャラとして「ダークみきゃん」「こみきゃん」もいます
※2 第1想起の獲得
第1想起(第一想起)の獲得」とは、ある商品カテゴリーやサービス名を聞いたときに、消費者が真っ先にそのブランドを思い浮かべる状態を作り出すことを指します。
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